環境委員会 座長 中村晴永(55回)誌上報告 本文へジャンプ


4.すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する

5.ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

6.すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

座長 中村晴永(55回)   環境委員会委員長 磯貝三男(56回)     
委員 岡田宗久(58回)
   委員 中瀬勝義(60回)   
委員 伊藤 林(62回)   委員 細谷和海(67回)   委員 清田秀雄(74回)

中村晴永(55回)

NPO法人『環境経営学会』事務局長
合唱団活動は学生時代から


海洋プラスチック汚染対策(2)

〜マイクロプラスチックの脅威と対策〜

202012

環境委員会

中村晴永(55回)

はじめに今日、世界全体の海洋ごみのうち最大割合を占めているのがプラスチックです。

「魚を食べようと思ったら、中からプラスチックの破片が出てきた」「ペットボトルの水から微小なプラスチックが発見された」など、私たちの身体にもその汚染が入り込んでいる可能性が報告されています。

本稿では、人間の体内に入り込むことで人体への悪影響が懸念される5mm以下の微細なプラスチック「マイクロプラスチック」を中心とする脅威と対策について、報告します。


1.  増加の一途をたどる海洋プラスチック

プラスチックは、衣服から自動車、建設資材まで私たちの生活のあらゆる場面で利用されています。手軽で耐久性に富み安価で生産できることから、製品そのものだけでなく、ビニールや発泡スチロールなどの包装や梱包、緩衝材ケースなどに幅広く使われているプラスチックですが、その多くは利用後きちんと処理されず、「使い捨て」されており、環境中に流出されてしまうことも少なくありません。環境中に流出したプラスチックはほとんどが最終的に行く着く場所は「海」です。

既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計 で15000万トン、そこへ少なくとも、年間800万トン(重量でジャン  ボ機5万機分)が、新たに流入していると推定されています。水や海 域によっては「外洋に蓄積しているごみの99.9%がプラスチック
 である」との報告もあります。

 

      

出典:Change.org

 

           

出典:NHK

 

こうした大量のプラスチックごみは、既に海の生態系に甚大な影響を与えております。例えば、海洋ごみの影響により魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり、死んだりしています。

豊かな自然で成り立っている産業にも直接的、間接的な被害を与え、甚大な経済的損失をもたらしています。

また、一度放出されたプラスチックごみは、容易には自然分解されず、多くが数百年以上もの間、残り続けます。このまま推移すると、2050年には海洋プラスチックごみは、魚の量を上回るとの予測もあります。

 

2.マイクロプラスチックの脅威

これらのプラスチックごみの多くは、海岸での波や紫外線等の影響を受けるなどして、5o以下の微細なプラスチックになり、それが世界中の海中や海底に存在しています。これを「二次マイクロプラスチック」と呼びます。

一方、もともと5o以下のマイクロサイズで製造され、洗顔料や化粧品・歯磨き粉などの製品に研磨剤としてプラスチックが使われており、これらを「一次マイクロプラスチック」と呼んでいます。一次マイクロプラスチックにはもう一つのジャンルが、合成繊維の洗濯や走行中の自動車タイヤの摩耗、船舶用の塗装剤などから発生する一次マイクロプラスチックです。

 

海中に存在するこれらのマイクロプラスチックは次のような問題を
引き起こします。

(1)      海中のマイクロプラスチックには、PCB、ダイオキシン、DDTなど海中の有害化学物質が含有・吸着し、海洋を広い範囲で移動し、有害化学物質の運び屋となって海の汚染が広がってしまいます。

 

 

[海洋プラスチックが5mm以下に微細化し、食物連鎖により海洋生物に取り込まれる]

 

海洋に投棄されたプラスチックゴミはやがて微細なマイクロプラスチックとなり、食物連鎖を通じて多くの生物に取り込まれています

出典:WWF Japan

 

(2)      海洋生物がエサと間違ってマイクロプラクチックを食べてしまい体内に入ると、食物連鎖を経て様々な海洋生物に拡がっていきます。その結果、生態系のかく乱、魚介類を食用とする人の健康への影響が懸念されます。

(3)      今日、様々な大きさのプラスチックが多種多様な生物に取り込まれていることが分かっています。「クジラ、ウミガメ、海鳥、魚の消化管からoサイズ、pサイズの超マイクロプラクチックが検出されている」との報告があります。

(4)      2014年、環境省の海洋ごみの実態把握調査(マイクロプラスチックの調査)によれば、日本周辺海域のマイクロプラスチックは北太平洋の16倍、世界の海の27倍であると報告されています。

(5)      20191月、九州大学の研究者らが、「プラごみの海洋流出がこのまま増え続けた場合、海洋生物がマイクロプラスチックによる環境リスクに直面する可能性がある」と警告しています。

 

3. 海洋プラスチック削減の取組

(1)      世界の取組

☆EUでは、20181月、2030年までにEU域内で使用されるすべてのプラスチック製の容器や包材をリユース又はリサイクル可能なものにするなどの「欧州プラスチック戦略」を策定しました。

20186月、G7(シャルルボア・サミット カナダ)で「海洋プラスチック憲章」が採択されました(日、米は署名せず)

20196月、G20大阪サミットで、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな海洋汚染をゼロにする目標を掲げた「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が採択されました。

(2)      我が国の取り組み

☆我が国では、20195月、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指したの我が国としての「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を発表しました。

  具体的には、以下の通りです。

ア)プラスチックごみの回収・適正処理の徹底、

イ)ポイ捨て・不法投棄・海洋流出の防止、

ウ)ポイ捨て・不法投棄されたごみの回収、

エ)海洋に流出したプラスチックの回収、

オ)代替素材の開発・転換等のイノベーション、

カ)こうした取組を促進するための関係者の連携協働

(3)海洋プラスチック削減のために、私たちが出来る6つのこと

⇒原点に立ち返り、3Rを実践すること

3R:Reduce:プラスチックの使用を減らす⇒ゴミを出さない

euse :繰り返し使う

Recycle:資源として再利用する

@  マイバッグ、マイボトルを持参する

A  ゴミの捨て方は確実、適切に

B  出来るだけ包装材の少ない商品を選ぶ

C  プラスチック製品を買わない

D  環境に配慮されていない素材の商品を買わない

E  ものを大切に使う⇒「もったいない」の基本を思い出す。

 

おわりに

海洋プラスチック汚染は「21世紀最悪の環境問題の一つ」と言われています。

人工的につくられた化合物であるプラスチックは、海中でも容易に分解されず、劣化したプラスチックが細かい砂粒ほどに細かく砕け、マイクロプラスチックとなって海面を浮遊し、一部は海中や海底に沈んでいきます。これらが海中生物の体内に入り、食物連鎖によって人の体内にも入り込む脅威と対策についてご報告しました。世界的にも調査研究及び対策は未だ緒に就いたところです。

出来ることから実践していくとともに、世界の趨勢を見極め、後手に回らないように今後とも注目していきたいと思います。

以上

・参考文献

@西尾 哲茂著「どーする 海洋プラスチック(第2版)」201988日 信山社

A枝廣 淳子著「プラスチック汚染とは何か(第3版)」2019104日 岩波書店

Website

@ 環境省:「海洋プラスチックごみ問題について」

A WWFJapan:海洋プラスチック問題について

B change org: 「海洋プラスチック」
C Gooddo Japan:
海洋プラスチックごみ問題とは?日本や海外の取り組み、

D 千葉商科大学:海が汚染され、海の生物も人も危ない!